
私達は誰でも自分なりの価値観や判断基準を持っています。癖と同じように自覚しているものもあれば、無自覚なものもあります。そして、そのような価値観や判断基準は会話の端々に現われ、自分以上に話し相手に気が付かれることが少なくないです。しかし、話し相手も多くの場合は似たような感覚を持っていたり、違っていても理解できたりするので違和感を抱かれないことも多いです。更に、もし、「あれ?」と思われたとしても大抵は聞き流してくれたり、わざわざ口にしたりしないでしょう。なので、自分の価値観や判断基準に気づかない場合がよくあります。
普段の会話であれば良いのですが、人の話を『聴く』、傾聴の場合、自分なりの価値観や判断基準は色のついた眼鏡をかけているかのように自分色に染まった世界を見てしまいかねず、相手の世界をちゃんと見られていない可能性があるのです。
例えば、話し手が「約束の時間に遅れたの」と言ったことに対してあなたが「遅れちゃったんだ」と返答したとします。なにか気づきますか?話し手が『遅れた』と言っているのに対して『遅れちゃった』と返した場合、ほんの僅かではありますがニュアンスが変わっているのが分かりますか?つまり、【遅れること=良くないこと】という判断が含まれているような言葉になっているのです。もしかしたらあなたはそのような意図はなかったかもしれません。でも、確実にトーンが変わっています。そして、よくよく考えると【遅れること=良くないこと】のような価値観・判断基準を持っているのかもしれません。そのような価値観が悪い、というのではなく、傾聴の場では価値観を含んだような返答をすることで理想的な傾聴から少し外れてしまうのです。ここまで気をつけるのが傾聴です。
あるいは、部下のマネジメントに悩むクライアントから「その部下は『分かりました』っていうのに期日をすっかり忘れたり、何度言っても同じミスをするし、ミーティングにはたいてい遅れて来るんです」という話に対して、あなたが自分の知識や経験を踏まえて「ADHDかもしれないですね」のように伝えるのも判断が入っている返答となります。
それでは、どのように答えるか、というと、最初のケースの場合はそのまま「遅れたのね」や「遅れたんだ」言って構いません。2つ目のケースの場合も、「その方はお願いしたことが仕上がらなかったり、間違えたり、決められたことが守れなかったりするのですね」のように言い直したりして聴いたことを相手に返します。 どちらのケースであっても、そのあと相手の了解を得てから質問をするのはOKです。例えば、「いくつか質問して良いですか?」「◯◯について詳しく教えて下さい」など質問は多種多様にあるでしょう。が、まずはちゃんと聴くこと、そして相手に聴いていることを伝えることが重要です。
自分なりの価値観や判断基準という眼鏡をかけて話を聴いていないですか?
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